「ゼロトラストを勉強しなきゃいけない。でも、NISTのドキュメントやベンダーの分厚いマニュアルを読むと3分で寝落ちしてしまう……」
そんな悩みを持つ全ての情シス担当者、エンジニア、そして経営者に朗報です。
「読み始めたら止まらない」セキュリティの専門書が存在することをご存知でしょうか?
それが、George Finney氏の著書『Project Zero Trust』(Wiley社)です。
本書は、単なる技術解説書ではありません。ランサムウェア被害からの復旧を描いた「企業再生のドキュメンタリー小説」です。
今回は、ZTRラボが「全情シス必読」と推すこの名著の魅力を紹介します。
▼今すぐチェックする
Project Zero Trust: A Story about a Strategy for Aligning Security and the Business (Amazon)

どんな本?:『The Phoenix Project』のセキュリティ版
DevOps界隈には『The Phoenix Project(フェニックス・プロジェクト)』という、物語形式でIT業務改革を学ぶ伝説的な本があります。
この『Project Zero Trust』は、まさに「セキュリティ版フェニックス・プロジェクト」と言える一冊です。
あらすじ:悪夢の「初出社」
主人公のディラン(Dylan)は、フィットネス機器メーカー「March Fitness」のインフラ部長として採用されました。
希望に胸を膨らませて迎えた初出社の朝、彼を待っていたのは……
- 社内ネットワークの全滅
- ランサムウェアによる身代金要求
- パニックになり紙のメモで走り回る社員たち
彼は入社初日にして、「マイナスからの復旧」と「ゼロトラストによるセキュリティ再構築」という無理ゲーを押し付けられることになります。
なぜ、この本が「実務」に役立つのか?

本書が優れているのは、以下の3点を「痛いほどリアル」に描いているからです。
1. 「製品」ではなく「戦略」が学べる
多くの入門書は「SASEとは何か」「EDRとは」といったツールの説明に終始します。
しかし、本書の主人公ディランは、予算も時間もない中で「今ある道具(ファイアウォールやActive Directory)」を使ってどうやってゼロトラストを実現するかに知恵を絞ります。
「ゼロトラスト=高い製品を買うこと」という誤解が、この本を読むと氷解します。
2. 「社内政治」の突破方法がわかる
セキュリティ担当者の最大の敵は、ハッカーではなく「利便性を優先したがる社内の抵抗勢力」です。
- 「開発の邪魔をするな」と怒る開発部長
- 「客先で手間を増やすな」と文句を言う営業部長
彼らをディランがどう説得し、味方につけていくか。その「人間ドラマと交渉術」こそが、日本の情シスが最も必要としているスキルかもしれません。
3. 「机上演習」まで網羅
物語のクライマックスでは、全役員を集めた「サイバー攻撃対応シミュレーション(机上演習)」が行われます。
このシーンを読むだけで、あなたの会社で避難訓練をやる際の良い手本(台本)になります。
こんな人におすすめ
- 情シス担当者:
「なぜセキュリティが必要か」を上司に説明する言語化能力が身につきます。 - 経営者・マネージャー:
技術的な詳細がわからなくても、「組織としてどう動くべきか」というガバナンスの勘所がわかります。 - 英語の技術書に挑戦したい人:
小説形式なので文脈が追いやすく、専門用語も自然に入ってきます(※現時点では英語版のみですが、DeepLなどを使いながらでも読む価値があります)。
結論:これは「読む防災訓練」だ

サイバー攻撃は「起きるか起きないか」ではなく「いつ起きるか」の問題です。
実際に被害に遭ってから学ぶコストは数億円ですが、この本から学ぶコストは数千円です。
主人公ディランと共に「地獄」を体験し、ゼロトラストという「希望」を実装する旅に出かけませんか?
読み終えた後、あなたのセキュリティに対する解像度は劇的に上がっているはずです。

